大室古墳群・大室古墳館−長野市−史跡・遺跡

大室古墳群・大室古墳館

千曲川東岸の松代町大室地区を中心に、約2.5㎞四方に分布する日本最大の積石塚古墳群。
5〜8世紀に作られたこれらの古墳は、総数約500基にも及びます。
全国でも珍しい埋葬施設のため、明治から現代にかけて研究と史跡整備が行われ、
気軽に見学できる史跡・史料館として解放されています。
まだまだ謎が多く残る古墳群を巡っていると、古代のロマンを感じずにはいられません。

入場料

大室古墳群・古墳館ともに入場無料です。

開園時間

9:00〜17:00
大室古墳館休館日:月曜日(祝日に当たる日はその翌日)
         祝日の翌日(土・日を除く)
         12月1日から翌年3月31日(冬期休館)
*古墳館の休館日に関わらず、屋外にある古墳群の見学はできます。

主な施設

◯ 大室古墳群(屋外) ◯ 大室古墳館(古墳館の隣にWCがあります)

駐車場

無料/約40台(大室古墳館前)

住所

〒381-1211 長野県長野市松代町310(大室古墳館)

アクセス

◯ 車利用
  上信越自動車道 長野インターより約15分
◯ 鉄道・バス利用
  ・北陸新幹線 JR長野駅 −長野電鉄(所要約30分)−須坂駅
   須坂駅−長電バス「屋代・須坂線」(所要約35分)−「大室駅」下車、徒歩約20分
  ・北陸新幹線 JR長野駅−アルピコ交通「48金井山線」(所要約30分)−「金井山」下車、
   徒歩約40分
*鉄道、バスでのアクセスは時間がかかるので、マイカー利用をお勧めします。

編集者コメント✑

「古墳」というと興味のある方とない方と分かれると思いますが、編集者はけっこう興味がある方です。
古代の人々の暮らしとか、信仰に基づく考え方とか、埋葬する時の儀式や決まりだったりも、どうして甕に詰めたのかとか、わざわざ手のかかる方法でお墓を作ったのかとか、色々考えてみると想像が膨らみます。

そんなわけで、長野観光のひとつの分野として紹介したいという気持ちもあり、古墳などの史跡にも行ってみようと考えました。
今回選んだのは「大室古墳群」。
上信越自動車道を通っていると、大室古墳群が見えます。
「高速道路の真隣りに見えるあの公園のような広場のような場所はなんだろう?」といつも疑問に思っていたので調べてみると、古墳を復元してある場所だということが分かり、以前から行ってみたいなぁと思っていたところでした。

大室古墳群までの行き方は少々分かづらいかも知れません。
ナビを使えば大丈夫ですが、長野インターにも繋がる国道403号線より長野市松代町大室地区へと入っていくと、集落があり幅が狭くなった道が入り組んでいるので、対向車に気をつけて進む必要がります。
集落を抜けると田んぼが広がり、農道を一部走るようになるのでこっちで合ってるのかな?と不安になりますが、高速道路の高架に向かって進み、高架を潜るとすぐに古墳群が整備された敷地へと入ることができます。

普段はさらに先へ進むと大室古墳館があり、その手前の駐車場まで行けるようですが、冬季は閉館しているためか手前に車止めの柵があり、駐車場まで行くことはできませんでした。
今回、車は柵の手前の邪魔にならない所に停めさせてもらい、そこから古墳群が点在する敷地内へと足を踏み入れました。
 
↑車を降りて振り返るとすぐ目の前に高速道路が。車止めの柵の先には古墳館へ続く車道が伸びています。

古墳がある敷地は公園のように広く、山の方に向かって傾斜になっていました。
その敷地内に古墳が所々で公開されているので、どこからでも自由に回って見ることができるようになっています。
車を停めた所から歩いてすぐの所に公開されている古墳があり、そこから見ていきました。

公開されている古墳は、ほとんど復元されているもの、復元が難しく周辺を整備してそのままの状態で公開されているもの、古墳の中に入れるもの・入れないものとありました。
 
各古墳には簡単な説明板が近くに立っているので、古墳について学びながら見学することができます。

 
↑人が数人入れるような大きめの古墳。屋外との寒暖差で石の表面にはたくさんの水滴が。

斜面を上がっていくと、大室古墳館がありました。
 
古墳館の前には広い駐車場があり、軽く40〜50台は停められそうです。
駐車場と古墳館の間には階段がありますが、脇にスロープもありますので車いすの方やお年寄りも安心です。
古墳館では、立体模型やパネル、ビデオなどで古墳について学習することができます。
無料で入れるので、また暖かくなって開館している時に来てみようと思います。

さらに進んでいくと、林の方へと道が続いていました。
 
林の中にも古墳群があり、一層雰囲気があります。
ここは明治時代の開墾で、段々畑の石垣と古墳が一体化しており、そのままの状態で復元してあります。

斜面の上の方からは景色が良好で、飯綱山や戸隠連峰、北アルプスなどが見えました!
 
敷地内には梅や桃の木も。梅の花が咲き始めていましたよ〜

遊具こそありませんが、敷地は公園のように整備されており、所々にベンチもあるのでピクニックにも良さそうな感じでした。お墓の横でピクニック、、苦笑
あまり気にならなければピクニックやお散歩には最適な場所だと思います♫笑

↑山野草も植えられており、暖かい季節はお花も楽しめます。

以下は、大室古墳群についてパンフレットに書かれていた内容を要約したものです。
一読すれば大室古墳群がどんなものなのか大体分かると思いますので、ご興味のある方はよろしければどうぞ!
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◯ 大室古墳群について
長野市松代町大室地区を中心に約2.5㎞四方の範囲に分布する5〜8世紀に造られた群集墳で、総数は約500基にものぼります。
奇妙山という山を背景にして、3つの尾根とそれに囲まれた2つの谷に古墳が集中しており、5つの支群に分けられています。この内、「大室谷」と「北谷」の2つの谷に約450基の古墳が分布し、一般的な古墳群とは異なる特徴を持っています。

◯ 古墳の種類
大室古墳群は、「積石塚」と「合掌形石室」という全国でも珍しい古墳を有しています。
土を盛って墳丘を形作る一般的な古墳と異なり、積石塚は土の代わりに石を用います。
積石塚は東北から九州まで幅広く分布していますが数は少なく、大室古墳群では積石塚が全体の70〜80%を占めており、これほど集中している所はほかにありません。
一方の合掌形石室は、板石を切妻屋根形に組んで天井とする石室で、全国に40例ほどしかない内の26例が大室古墳群で確認されています。
 
↑241号墳の合掌形石室。馬具や多くのガラス玉、埴輪・須恵器などが出土しました。

◯ たくさんの石はどこから?
大室古墳群で使われている石は、約290万年〜240万円前に奇妙山の火山活動から産出した安山岩で、現在でも山中のあちこちで見ることができます。古墳時代には、最適な石を切り出したり採取したりして使用していたと考えられ、豊富な石が身近で手に入ったことから、積石塚が発達したという説があります。

↑エントランスゾーンから見える岩壁。取材時には断崖を登る人の姿も確認しました(クライミングか救助訓練)。

◯ どんな人が埋葬されているの?
被葬者は馬の生産に関わっていたと指摘されています。
大室地区周辺は、平安時代に編纂された「延喜式」に記されている「大室牧」があった場所とされ、実際に古墳群からは馬具や馬骨、馬形土製品など馬に関わる品々が出土しています。
馬の生産は朝鮮半島の渡来人から伝えられて広まったことが発掘調査で分かっていますが、大室古墳群と渡来人を直接結びつける証拠は見つかっていません。

◯ 埋葬品は?
古墳には、被葬者が生前身に付けていた装飾品や使用していた道具などが納められていますが、中には優れた品物もあり、古墳の多くは盗掘に遭います。大室古墳群も例外ではなく、ほとんどの古墳が盗掘に遭っています。
これまでに目ぼしい出土品はありませんが、残された出土品の欠片などは古墳が造られた年代や被葬者の立場などを知る上で重要な手掛かりとなります。

◯ 史跡指定と整備計画
平成9年に、大室谷支群の主要部分が史跡指定を受けたことを皮切りに、翌10年から憩いの場、学習の場、歴史体験の場として古墳群を公開するための史跡整備事業がスタートしました。
史跡指定地は広大なため、遺構分布や地形、植生に応じて指定地を7つのゾーンに分け、4期に渡る整備事業を計画しています。
第1期として、大室古墳群の入り口にあたる「エントランスゾーン」と古墳館がある「施設整備ゾーン」は整備が終わり、現在はエントランスゾーンよりさらに山手へと進んだ「遺構復元整備ゾーン」を第2期として整備に取り組んでいます。
遺構復元整備ゾーンは、エントランスゾーンから続く林道を歩いて10分ほどの所にあり、合掌形石室をもつ積石塚や横穴式石室が多く残されています。この辺りを地元では「ムジナゴーロ」と呼んでおり、鬱蒼と茂る林の中に古墳が連なる大室古墳群特有の景観を見ることができます。
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全てのゾーンの整備が終わるまでにはまだまだ時間が掛かるようですが、復元・整備されていく中で古代の人々について分かるような手掛かりがもしかしたら見つかるかもしれません。今後の整備事業に期待が高まりますね。
第2期以降の整備が終わりましたら、また折を見て見学しに行ってみようと思います!

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